セーフサーチ設定を変更しました
ページの先頭です
KADOKAWA作品コイン50%還元キャンペーン

『官能小説、講談社、雑誌を除く(文芸・小説)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全301件

  • 352(税込) 2024/4/25(木)23:59まで
    著:
    黒木渚
    レーベル: 講談社文庫
    出版社: 講談社

    絶縁して10年――。
    私はまだ、父に囚われ続けている。

    歌手にして作家、唯一無二の才能がはなつ渾身の私小説。


    こんなふうに鮮やかに世界を描写する言葉があったのかと、ページを繰るたびに衝撃を受けました。
    澄み切った劇薬のような、忘れ難い物語です。――小島慶子(エッセイスト)



    挨拶もなく消えた父。「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ――。空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。
  • 猟色のベテラン・小見山が、デパートに勤める紀子にウツツを抜かし、しかも、目的が果たせないという、珍しいことが起こった。彼が、紀子のことで、あの手この手の策を弄していると、かならず、見知らぬ女の声で、電話がかかってきた。しかも、それは、彼に欺された過去の女の亡霊のように、彼をおびやかしつづけた。やむなく、小見山は、かつてガール・ハントの手ほどきをしてやった宇津に、助けを求めたのだが……。 2人の男のあくなき女体探求を通じて、性の世界の百態を展開する長編小説。前作「色名帖」の続編として書かれた異色作。
  • 宮川実は、50歳に手が届こうとしている、情痴小説を書く流行作家である。そのためには、絶えず女体についての研鑽をつまねばならないと思っている。そこで、3度目の妻・周子の眼をごまかしながら、銀座ホステスや女優・タレントたち、高校教師時代の教え子などとの交渉を、セキララに小説にしている。また、天涯孤独の女子高校生・種村津子を渋谷のマンションに住まわせ、その急速な性の開花ぶりに、目を瞠るのだった。しかし、やがて、意外といえば意外、当然といえば当然といえる結末が訪れる……。著者自身と覚しき主人公の行動を通じて、性の深淵を鮮烈に描く爆弾欲情小説。
  • 直美は、姉の夫である坂庭に、女として初めてのからだを開いた。人間にはあらゆることが起こり得るという、悪魔的な期待が、若い彼女の心をくすぐった。そのくせ、愛は、どこかで自分を待っていると信じていた。そんな彼女の前に、純情なボーイフレンドやシニカルな中年男の、熱く光る眼差しがあった。ある日、陶酔する官能と乾いた心の背反の中で、直美は義兄への殺意を抱く。自分をなにものかに証明するように……。という、女の深部にひそむものを、繊細な手つきで、あますところなくえぐり出した著者の代表作「魔性」の他に「悦楽」「消えた表情」「傾く旅」を収録。
  • 夫の部下・栗原に誘われて以来、岡村妙子は浮気の快楽を知り、建築技師の小松、テレビタレントの白石、そして、バンドリーダーのフィリビン人と、次々に相手を変えていく。一方、夫の岡村は、喫茶店のウェイトレス・片倉晶子、芸者・花代、クラブの女・リサ、会社のアルバイト高校生・諸岡とき等と、浮気を重ねている。妻は夫の、夫は妻の浮気を、互いに承知していながら、暗黙のうちに、それすらも一つの刺激材料として、より神秘な官能の深渕を求め、ふたりの性の要求はとどまるところを知らない……。人生永遠の課題ともいうべき性の可能性を、柔軟な筆致で描いた異色の長編小説。
  • <羊の眼>を侑子に教えてくれた男があった。それは、細毛が器官をくすぐる性具だった。バーに勤め出して3年になる侑子は、さまざまな男によって性の秘術を知った。そんな体験を繰り返しながら、侑子は、心の中で何かを求めていた。画家の福田が、そんな侑子にとって、特別な存在となった。ホテルで美しいけもののように燃えた翌朝、侑子はふと涙ぐんだりするのだった……。という、性のひだひだをあやしく描きつくした「誘惑の森」の他に、「魅惑の罠」「よろこび」「バッハと偶発」「失神派」「密議」「夢うつつ」の6篇を収録。著者の円熟ぶりを示す好短篇集である。
  • 梶岡は、3日に1度媾合しないと、体の調子がよくなかった。父と一緒に歯科医を開業していて、生活には困らなかったが、独身なので、その3日目が来ると、患者の治療よりも、会うべき女のことばかり考えるのだった。若いということと熱心なことのために、彼は、その3日おきの要求をを充たしつづけた。あるときは、少女時代に彼にツンとしていた女と再会して、その日のうちにホテルへ連れ込んだし、あるときは、友人の妻と、その友人が眠っているそばで重なり合う幸運にもめぐりあった……。この長編小説は、夜ごとにかわる女の肌をなでるように描いた性のまんだらである。
  • 癒ることのない肝臓ガンに冒され、顔色もすっかり黒ずんでしまったという中年男・沼崎から、死ぬ前にやっておきたいことが一つだけある、と口説かれた銀座ホステス・敏子は、その願いを叶えさせてあげることにした。これまで男性不信の月日を過してきた敏子は、沼崎によって真の女の悦びを知らされたが、その悦びよりも、悦びを与えてくれた男がもうすぐ死ぬという事実の暗い悲しみの方に、押しひしがれていた。しかし、やがて敏子は、ゴルフ場でこの男の意外な素顔をかいま見てしまった……。という表題作のほかに、「裏切る」「秋のロマンス」など4篇を収録する、著者会心の官能小説集。
  • 秋山が、芸者・菊丸と逢引きしたり、ヒモつきの女の体のすばらしさに、うつつをぬかしている頃、大町は、レズビアンの女・美智子を、自分の情事の相手・りえに引き合わせていた。秋山は、大町が主宰しているコンボのドラマーだ。二人の男の情事の進行には、音楽喫茶モンクールでの、気の合った演奏のような、あやしい雰囲気のハーモニイがあった。秋山は、ヒモの男にあるアパートへ拉致された。大町は、二人の女を同伴旅館へ連れ込むことに成功し、彼女らの愛し合う様子をつぶさに観察する段取りをつけた……。円熟したセックス描写が冴えてきた快作「新・肌色あつめ」の第2巻。
  • かなり大きな出版社の出版部門の部長である茂木は、通勤の地下鉄電車の中で、ユキ子に声をかけた。小柄で、やわらかそうな肉付で、構造も当然小さめ……と茂木は確信していたのだが、いざラブホテルで二人っきりになってみると、意外に楽々と彼は迎え入れられていた。こうしたゆるめの構造に、彼は弱いのだ。〈それはないよ〉という気持で、茂木はユキ子と別れたが、半月ほどたって、二人がばったり再会したのは、会社の廊下でだった。彼女こそ、会社の噂の女であったのだ……。という表題作のほか、「男の初夜」「手切れ金」「バラの日々」「色細工」「すぐ眼の前に」の5篇を収録する官能小説集。
  • みかけによらず浮気な女の、鳥飼の細君・冴子は、夫に秘密で、他の男の子供を生んだ。しかし鳥飼は、冴子に疑いを抱いていない。子供も自分の子だとばかり信じこんでいる。そのことを、冴子は楽しむように小坂に話した。小坂は、鳥飼たちが結婚する前、冴子と交渉があった。しかも、鳥飼に冴子を紹介したのは、小坂である。ようやく、鳥飼が、冴子に不審を持つようになった。そして、小坂を呼び出し、小坂と冴子の以前の関係に、さぐりを入れてくるようになった。――官能と肉体の神秘を求め、文学の性的世界にユーモアを導入して、新機軸を築く、川上宗薫の傑作短編集。
  • 女に声をかけて、親しくなる。さり気なく胸のふくらみの反応を、指でたしかめる。大町の指にかかると、女は、間もなく、ホテルの一室で、服を脱ぎ始める。女が裸になって行くときの顔を見るのが、大町は好きだった。女体への冒険旅行にのみ生き甲斐があると信じている大町だったが、あるとき手に入れた女に、彼は、ひとりの男の影がまとわりついていることに気がついた。そしてその影が、親しい仲の男であることを知ったとき大町は、ふしぎな快感をおぼえるのだった。……性を通じて、男女の心理のメカニズムを、あざやかにえぐり出した「失神派」の快作長編!
  • 美しく魅力的な教え子と結婚したいという、ごく簡単な動機から、安永は、都心から1時間ほどの所にある公立高校の英語教師となった。女の子の数は、たしかに多い。しかし、どこか生ぐささの感じられる女子高校生たちは、安永の趣味には合わなかった。そこで、「ひっぴい先生」と異名をとる彼が、みずからの好みに忠実に繰りひろげる遊蕩日誌に登場する美女たちは、教え子の姉でデパートガールの田原泰子、他校の英語教師・徳山紀子、ボクシング部の猛者のうら若い義母・末松広子、喫茶店のウェイトレス・西田葉子など……。健康で豊艶なエロスあふれる、現代風ユーモア連作小説。
  • 挿絵画家の井野は、ニコチン中毒者が、細くて白い煙草へ、つい手を伸ばしてしまうように、女に手をのばすのだった。まず、女に近づくためのさまざまな作戦があり、そして、それが成功したあとは、女体を征服し味わい尽すためのさまざまな試みがあった。井野は、しかし、女の体の上に重なりながら、たまらなく虚しくなることがあった。その虚しさに耐えきれなくなると、また街へ出て、他の女をさがし求めるのであった……。現代のもっとも異色的な作家として、あくことなく「性」を追求しつづける作者が、人間の原質を追求した、本格的長篇小説である。
  • 「私」は、深い眠りにおちている裸身の絵津子に、カメラを向けた。長い時間をかけ、すこしずつ変わるポーズを、可能なあらゆる角度から狙っては、シャッターを押しつづけた。そして、「私」の行為に気づかない彼女に向かって、一人きりの愉悦に浸った。絵津子は、かつての「私」の教え子であり、忘れられない女であったが、彼女が結婚したあと再会したとき、「私」は、自分の中に何かが失われていることを知った。「私」はその何かを取り戻そうと必死になっているのだった……。肉体のふしぎなからくりと、心の中の荒涼たる風景を、細密画の手法で、執拗に追求した、ユニークな長編。他に、短編「残存者」を収録。
  • 郊外の分譲地で、ふとしたキッカケで知り合った男に、惹かれていく房子。夫婦のトラブルで苦しむ義兄によって、ふしぎな女心に目ざめる玲子。ペンフレンドへの手紙に、大胆にセックスの渇きを訴える紀子。中学時代の先生への淡い憧れが、ライバルの出現によって、燃える恋にかわるたまえ。ベッドにしのび込んできたいとこの、幼い愛撫に傷ついたゆき。5人の思春期の娘たちは、愛と性の危険な時間を、どう受け止めただろうか。……性の万華鏡を描くことによって、男の女の原質を捉えようと試みる作者が、若い季節の秘密に、新しい手法でメスをいれた、異色青春小説である。
  • 深夜の長い坂道の上で、夏子は、車のエンジンをとめた。サイドブレーキを戻すと、車はそのまま走り出した。その中で、夏子は、大町に挑んできた。夏子と大町は、狭いシートの上に、重なって倒れた。運転者の姿の見えない車が、しだいに加速しながら、滑って行く。わずか3分間ほどの、恐怖を伴った異常な興奮は、すばらしかった。それは、セックスの園を長くさまよいつづけた大町にとっても、はじめての経験であった。……「肌色あつめ」「落ちる実」の連作として書かれ、底の知れないセックスの世界に、この作者ならではのメスをいれたユニークな長篇小説。
  • 中年のテレビ俳優である足立家に、ひょんないきさつから、夫婦だと称する若い男女が、住み込みのお手伝いとして同居することになった。この若い網夫婦、仕事は朝から交代でよくするのだが、なにしろ一つ屋根の下に赤の他人の二つ夫婦が寝起きするのだから、なにやら妙な雰囲気だ。男盛りの好きものである足立には、若いカップルの夜が気にかかってしようがない。ある夜、足立は、網夫婦の寝室を秘かにうかがおうとした。ところが、敵もさるもの、網夫婦も足立夫婦の夜をぬすみ見ようとしていた……。意表をついて展開する好色コメディの表題作、ほかに傑作短編3作を収録。
  • 宇津は、同窓生の初枝と久しぶりに会い、そして彼女の部屋に泊ることになった。初枝が、マリリン・モンローと同じ方式で、眠りの仕度を始めたので、雰囲気がしだいにおかしくなってきた。ちょうどその頃、小見山は、会社勤めの郁子を誘い出すことに成功していた。カメラマンの小見山は、彼女を写真のモデルに使いたいと言ったのだが、ほんとうの目的は、他にあった。小見山は、公園で声をかけた未知の女性でも、その日のうちにモノにできる自信を持っていた。……この小説は、二人の男の行動を通じて、作者が、女性ハントの秘術を語り尽した、長編小説である。
  • 貝がもだえるような感覚につつまれ、小さなふるえに身をゆだねながら、男の体は次第にたかまってゆく。処女かどうかの自覚さえもない程度の性知識しかない女子大生の圭子……自分の娘のような年齢の彼女に、女関係の豊富な小沼は、新鮮な興奮をおぼえた。骨細でふっくらとした肉体の内部に秘められた微細な構造、その並々ならぬ素晴らしさが、小沼をとらえて離さない。連続十三夜にわたる、若い娘と初老の男の肉体のドラマを通して、次第に開花して行く女の性のかたちを鮮麗に描いた傑作「十三夜」のほか、「いつしか連夜」「白粉の気配」など、官能傑作小説全5篇を収録した異色の短篇小説集。
  • 映画館で佳子と知り合った小原は、2度目の逢引の時、早くも彼女を籠絡することに成功した。佳子は、人妻だった。夫の須藤は、理髪店を経営しているという。ある時、彼は、須藤の店に散髪に行った。佳子から夫はこわい人だと聞かされていた彼は、須藤が自分と佳子の関係を知っているのではないか、と不安を抱いた。数日後、小原の所に、男の声で電話がかかった。その声は、小原と佳子が利用したホテル名を告げ、そこで小原に会いたいという。須藤か? 彼は怯えながらそのホテルに向かった……。という表題作、「マイガール」「ヌードモデル」「女狐」「春の夢」「疑惑の発生」など、全11篇を収録。
  • 早田は、友人の野村の家へ遊びに行って、そのまま泊りこむことが多かった。朝、早田は、野村を車で駅へ送る。そして、野村家に引返し、野村の妻の左知子と、熱い情事に耽るのだった。早田は、左知子との不倫を軸にしながら、さまざまな女と、ハプニングな交渉を持つことに、生き甲斐を感じていた。人妻、女子大生、舞踊家、女優などと、早田の愛欲の対象は、めまぐるしく変わった。早田は、そうすることによって、女たちに、何ものかを与えているのだと、信じていた。……これは、セックスを描くことで現代人の虚無感を追求しつづける作者の、野心的な長篇小説である。
  • 音楽茶房「モンクール」にレギュラー出演している、クインテットのメンバーの大町と秋山は、それぞれの持ち味と方法とで、女体の探検をつづけていた。ある夜、大町から秋山に電話があった。店によく来る中村房子というグラマーの女性が、処女を捨ててしまいたいと言っているので、その相手役をつとめて欲しいという話であった。大町が房子に執心していることを知っている秋山は、その奇妙な申入れにたじろいだが、やがて、ぞくぞくとした快感に包まれるのだった。……無限の拡がりと変化をもった色の道を、円熟の筆で描破した長篇小説。「新・肌色あつめ」の第1巻としておくる。
  • はじめて会った女性と、その日のうちに肉体の交わりを持ち、名も知らぬままに別れた経験が、高原にはあった。彼は、それを「完璧の情事」と呼んだ。そんなことは一度だけだったが、魅力を感じた女性を、自分のものにするために、高原は、あらゆる努力と術策を、惜しまなかった。相手が、良家の夫人であろうと女子高校生であろうと、彼は、いつも成功するのだった。社会的に産業デザイナーとして通っている男が、夜行性の超人として、ラブ・ハントのあらゆるテクニックを展開する……。都会の小ぎれいな生活の中から、裸の人間をシニカルにえぐり出した、個性的な長編である。
  • ジーンズ・メーカー社長の森崎は、30代で独身である。マンションの一室をアジトにして、大胆かつ臨機応変な手法で、次から次へと女を誘惑している。向かい部屋にいた湯川奈美とは、全裸写真を盗み撮りして糸口を作ったし、高校教師の松野輝子のときは、教え子の件で相談を受けたその日にホテルに連れ込むことに成功した。女たちの年齢や職業はさまざまで、雑誌記者、テレビ司会者、高校生などである。ハプニングな性の実現に最大のよろこびを覚え、華麗な情事体験を続ける一人の男を通して、現代人の赤裸々な愛の姿と性の深淵を、巧みなタッチで描く長編。
  • 岡村は、由紀の体や顔を眺めながら、おこなうのが好きだ。由紀は、歩く時にも、ちょっとした仕種も、ゆっくりとしている。岡村は、由紀には官能の素質があると、前からにらんでいた。それはやわらかそうな体の線や、着やせする小造りの骨細な線、白いきめ細かな肌などから、そう思っていた。愉悦を覚えている由紀の顔の中で、いちばんエロチックなのは、開いた口だ。前歯が覗き、めくれた上唇のまだらな口紅の跡とか、前歯の裏側に当てられている舌の先とかの眺めが、岡村を興奮させる……。性の美食家の目にうつる女の微妙な成長を丹念につづる「美食」をはじめ、「笑いながら」など、傑作6篇を収録。
  • 滝乃の体は、日常にないものへの渇きに、いらだっていた。電車の中で白い指の男を見つけて合図を送ったり、高校時代の教師を呼び出して、その渇きをいやそうとするのだが、やはり、彼女は、体が何かを求めてあぶくを出しながら煮えたぎるのを、どうすることもできないのだった。そんな彼女は、ある日、陽に灼けた上半身をむき出しにして建築現場で働いている2人の労働者と、声を交わした。間もなく2人の労働者と滝乃は旅館へ……。という「渇きの日」の他に、「処女前後」「二度目から素敵」など、全11篇を収めた魅力短篇集。
  • 私は、都心のホテルに泊って、4日目になっていた。最初の3日間は、仕事に打ちこみ、あとの4日間は、女を入れ替り立ち替りそのダブルベッドの部屋に引っぱりこむことを考えていたのだが、不意にギックリ腰におそわれた。ギックリ腰のまま、行為は可能だろうか? 秘策を思いついた私は、ホテルにとじこもったまま、次々と女を呼び入れて行った。白人の外国人スチュワーデス、看護婦、女マッサージ師、巫女……。さまざまな女たちとの奔放なセックスの形を克明に描いた快作「満開ホテル」の他に、異色の官能短篇小説4篇を収録した、鮮烈な作品集。
  • 紺野は、あるパーティの席で、樹良を知った。樹良は、国際的スチュアデスである。ひと目でその性的魅力の虜となった紺野は、あと一歩のところでスルリと身をかわす樹良を、執拗に求めつづけた。これまで女に肉体的価値しか認めなかったのが、恋情を抱くようにさえなった。そして、彼はついに、樹良を陥落させたのである。その夜、二人は激しく燃えた。ことに樹良の燃え方は、さすがのプレイボーイ紺野も驚くほどだった。しかし、次に会った時、樹良はきっぱりと拒絶したのである。あれほど燃えた樹良の拒絶する理由が、彼にはさっぱりわからなかった……。という衝撃の表題作など、全6編を収録。
  • 内外航空のパイロット・吉原は、美人で評判のママ・真田光と、自由で気ままな情事を続ける一方、勤務で外国に行くと、精力的に女性を求め、スチュワーデスや外人女性と一夜のアバンチュールを楽しむことも忘れない。愛人の光のほうも、吉原の留守中は、その豊満な体をもてあまして、客の山崎と浮気をしたり、女優の枝村昌子とレズビアンを演じたりする。こうして、吉原と光を中心とする情事の輪は、だんだんと広がってゆく……。綿密な取材にもとづいて、パイロットという特殊な職業をもつ男の、日常と愛欲生活をみごとに描いた、魅力溢れる傑作官能小説。
  • 郷子は、手島によって、女としてめざめた。郷子が結婚したあとも、手島は「会いたい」といい、彼女もまた、会いたくなるのだった。郷子の中の「女」は、彼女の意識を離れて、1匹のけもののように、生きていた。そのくせ彼女は、夫の小池との間を、なんとか平常の形で保っていきたいと努力していた。そんな郷子が、手島との違和を感ずるときが来た。彼女のからだは、小池でなく、渇きを充たしてくれる第三の男を求めるのだった……。セックスと心理のひだひだを、まさぐるように描いた「春の渇き」の他に、「不妊の歌」「犬と情熱」「声と楽器」など、全9篇を収めた珠玉集。
  • 声優の殿川は40歳、テレビドラマの私立探偵アーチー役の吹替えで人気を得、私生活でもいっぱしのプレイボーイだった。前の細君とはずっと以前に別れ、いまは、娘ほども年の違う流実と結婚している。なのに、平凡な生活では物足りない彼は、次々に新しい女と浮気を重ねた。そして、単なる浮気に飽きたらなくなった彼は、より濃密な刺戟を求めて、やくざのヒモがいるという女と接して、スリルを味わうようになる。一方、流実にも、殿川には悟られてない秘密の時間があった……。性の実現に最大の喜びを覚え、次から次へと女を誘惑して歩く男の、華麗な情事体験を描く異色長篇小説。
  • 綾子は、戸村との結婚を真剣に考えるようになってからのある日、クラスメートの村井に電話をした。彼女は、村井に誘惑してもらいたい気持ちだった。プレイボーイの村井は、彼女が予想した通りに、ことを運んでくれた。千駄ヶ谷の旅館で村井に抱かれたとき、彼女は、その日の冒険の原因になった戸村の浮気など、どうでもいいという気分になっていた。悦楽の中にのめり込みながら、自分の中の女が声をあげていた……。平凡な働く女性の肉体と心の奇妙な交錯を、しゃれた筆致で描いた「悦楽の傷み」の他に、「女体感応」「失神作家」「獣と会った日」など8篇を収めた珠玉短篇集。
  • もの書きを職業としている今井の専門は、「好色」ないしは「女体」である。だから、世間では一応、プレイボーイで通っている。彼が外国旅行をする場合、各所旧蹟にはまったく関心がない。女、動物園、食事、この3つに関心は絞られる。そのうちでも、一番は女である。彼の予定としては泊る数だけ女と寝ることである。ロンドン、ブリュッセル、マドリッド、パリと、ヨーロッパの夜を、次から次へと女を誘惑して歩く男の華麗な情事体験を描いた「欧州色めぐり」の他、「マウナ・ケアなんか」「新・欧州色めぐり」「瘋癲序曲」「沈んだ関係」を収録。心こまやかで冷酷な性の世界を描く魅力溢れる作品集。
  • 大町は、ふゆのに誘われて、彼女のアパートに泊りに行く。ふゆのの妹・りえは、ふとんを3つ並べて、先に寝ていた。姉妹の真中に、大町は寝ることになるが、それは、ふゆのによって、はじめから仕組まれた筋書らしくもあった。大町は、あやしい刺激を受ける。そして、彼は、りえが、自分の友人の秋山とも交渉を持っていることに、興奮を新たにするのだった……。セックスの地図をあますところなく踏破して行く男を描くことによって、作者は、生きていることの充実をどんらんに追及する。巧まざる健康なユーモアにあふれた異色長篇小説。「肌色あつめ」第2部。
  • 女性研究家の肩書きを持つ青池妙五は、熱心な実践的女性探求家である。中年男の彼には、20代半ばの後妻と、中学2年になる男の子がいる。しかし彼は、パトロンを持つ夫人をはじめ、スナックのマダム、女子大生、デパート・ガール、バーのホステスなどと、次々と関係を深めていく。好色であり、才能があり、上質の肉体的構造を持っている理想的女性を求めて遍歴する青池妙五の身に、やがて意想外の事件がのしかかる……。「誘惑」に人生の悦楽を、「情事」に人間の実存を賭ける男の、超人的な女性遍歴を、川上宗薫一流の筆致で描いた異色の長編小説。
  • 大町が道をたずねるために立ち話をした人妻は、印象的な美人だった。彼は、偶然を装ってその人妻と再会し、数時間後にはホテルへ連れ込むことに成功していた。女の道にかけて、大町には、不可能ということがなかった。そのためには、相手の女につきまとう若い男に殴られて、失神することにも耐えた。一方、彼の友人の秋山は、芸者の菊丸にネツをあげ、「お座敷旦那」になっていた。菊丸には、すくなくも10人の男がいて、それが秋山の悩みのタネだった……。二人の男の色道修行を追いながら女の百態を描き尽した、魅力ある長編小説である。「新・肌色あつめ」の第3巻。
  • 隣室に住む洋子の声が時々、那可子の部屋まで聞こえてくる。それは、罵詈に属する言葉である。まだ少女のような女に罵られて黙っている男の気持が、那可子には腑に落ちない。男は、50近い年配である。男がいない時、洋子は、若者たちを呼び入れて不埒な行為をしているらしい。ある日、那可子は、男を自分の部屋に誘い入れた。洋子の不謹慎を男に教えたい気持と、男と浮気したい気持を、那可子は、半々ずつ持っていた。男の技巧は、幼稚だった。と、急に男は、顔を踏みつけてくれと那可子に頼んだ……。変態の男と、男を足拭き程度に考えている女の、奇妙な関係を描く表題作のほかに、8編を収録。
  • 鳥居恭に、「棚からボタモチ」がころがりこんできた。友人の結婚式で会った、彫りの深いインド人のような美女が、一晩トコトンつきあいたいと申し出たのだ。きけば、気のすすまぬ見合い結婚を前に、相手の男に復讐してやる気になったという。思いがけない一夜の幸運に酔いしれる鳥居だが、それにつけても思いだすのは、毎日通勤電車で見かけるあの女のこと。豊かな胸をもち、歩くたびに腰の部分にポックリえくぼができそうな、つまりはこぼれるような愛嬌がにおってくる、理想のタイプの女なのだ。日頃の空想を実現するため、鳥居は大胆な「行動計画」に着手した……。
  • 「あたしは男好きで、浮気な女よ!」実際、由美子はそんな女だった……。冷たく気紛れで、そのくせ変に優しいところもある「悪女」。何よりもその、ムッチリした官能的な浅黒い肢体、野性的な妖しい魅力が男たちを惑わすのだ……。商業美術家・青柳茂也が同棲しているマネキンの由美子は、現代の妖精だった。一本気で正直な茂也は、そんな由美子の悪女ぶりに困惑し、苦しみ悶えながらも、その見事な肉体に酔い痴れて、ずるずると妖しい世界に陥ち込んでいく。男と女の隠微な世界を鮮烈なエロティシズムの中に描いた表題作ふくむ、全9編を収録。
  • ある日、私は、「全ての点で慎重に手入れされている」美貌の人妻・重任麻耶の魅力のとりこになる。私には長いつき合いの情人・早苗のほか、数多くの女たちがいるが、私は、私の頭からはなれない麻耶を征服するために、まず彼女の長年の友人・立松洋子を「囮」に使おうとする。この「囮」が、私を愛しはじめているのを知っての上で……。ケイリイ・グラントばりの魅力の持主で、生来のドン・ファン=黒田竜夫の秘められた、女たちとの「肉体で交す会話」を「日記」で辿ることによって女の性のはかり知れない深奥を、かってない強烈な迫力をもって描いた、北原武夫の傑作長篇。
  • 「ああ…」亮の口から嘆声がもれた。貴族的な、と呼びたいほどの繊細で優雅な夫人の、なんと官能味あふれる裸身であろう。歓喜に酔う亮の耳に、夫人の前夫、洋画家・津村の教える「暗喩」が甦える。……亮は思いきって、そこに唇を触れ……息をのんだ。――激しい恍惚に身をふるわす象牙色の肌、とめどなく洩らす甘美なすすり泣き。しびれる頭の中で、亮ははじめて知った。女体に秘められた、妖しくも狂おしい異様な性! 大南部コンツェルンの御曹子、美貌の青年・南部亮の華やかな女性遍歴を通して、作者はここに、大胆に「現代の性」を抉り出す。話題の力作長編。
  • 女の心は小さくて、底の浅い盃のようなもの。すぐ一杯になって、他の何も入らなくなるの……。激しく短かかった恋のため、一切を捨て、名門の家庭を去り、社会的にも葬り去られた水枝。奔放な激情の女が、10年前の恋人と再会した。しかし今の彼女には、新しい愛人への灼けつくような恋しい思いだけで、昔を偲ぶ感情も何もなかった。男のように、昔のことをいつまでも忘れずに覚えてはいられなかった。――女ごころの不可思議さと人間の寂しさ・哀しさを鮮やかに抉り出した好短編『女ごころ』、そのほかに『聖処女』『恋の女』など、現代の愛と性を描いた全10編を収録。
  • 愛を「肉体でかわす会話にすぎない」と考えている、若き美男の主人公・大河内雄吉の、ストイックではあるが、果敢・鮮烈な「愛」の数々……。美少女・水無子への「切実」な愛を中心に、ショー・ダンサー、ファッション・モデル、服装デザイナー等々の「現代の女」との大胆な「愛」を、主人公の克明・率直な日記で辿りながら、現代的な「新らしい魅惑」の世界をつくる北原武夫の長篇。若きゴールデン・ハンターの、華麗な数多くの女たちとの「肉体でかわす会話」を追うことによって現代の若き「愛と性」の尖端を描いた、北原文学の話題作!
  • 性の歓びを知らない日本の妻。緒方敬子もその一人だった。小麦色のすばらしい肢体の持主である敬子は、並はずれた羞恥心と、みどり児の素直な魂をもち続ける。幼女期のお医者さん遊び、少女期のS、女教師の倒錯的な愛撫、そうした性の歴史も、敬子の心を歪めることはできなかった。戦争で失った清純な恋。粗野な夫は、彼女を肉の塊としか見てくれない。初夜と変らぬ屈辱と嫌悪にまみれた日々……そこに愛の不在を見ぬく年輩の商業美術家・三村に、敬子はいつしか惹かれていく。きわめがたい女の性の機微を、幼児期から克明にたどり、幸福への門戸を開く異色の傑作長篇。
  • 季節はずれの山中湖畔で、作家の雨宮が会った眉子は、どこか沈んだ暗さはあるが、しっとりとして、情感的ムードが漂っている女だった。激しく官能をゆすぶられる、一夜の情事。翌朝、女は雨宮に黙って立ち去った。忘れられずに思い悩む雨宮の前に、やつれはてた眉子が1月後、突然現われた。異常なほどに昂まった営みのあと、眉子は、ひきとめる雨宮を振り切って、霧雨の中に消えて行った。その夜、眉子は自殺した……。夫と恋人との間で数奇な運命に弄ばれた女を、哀愁をこめて艶麗に描いた表題作『憂愁夫人』のほか、『妖艶な残り香』など、全7編を収録。
  • すばらしい肢体と美貌が男を惑わすホステスの亜紀。ドン・ファンとして名高い絵描きの伊達は、念願かなって彼女と一夜の情事をもつことになった。その夜の営みのとき、亜紀の見事な肉体に酔い痴れていた伊達が、彼女と一つになろうとした瞬間、亜紀は冷ややかに痛烈な言葉を放った……。色事師の異名をもつ男の奇妙な情事を濃厚なエロティシズムの中に描いて、現代人の欲望の生態と、微妙な男女心理のひだを大胆に抉った表題作「色事師」。他に「裏切られた情事」「情炎の果て」「色っぽい童女」など、北原武夫独特の、現代の愛とセックスを描く力作7編を収録。
  • 生暖かい靄の中で、柔かい吐息とともに洩れて来る、優しさと甘えにみちた、切れ切れな女の歓喜の声……。男の巧みな愛撫にに何の反応も示さなかった女の体は、ふとしたはずみに試みた愛のかたちに激しく燃える……。マドリッドからニースへ向かうエールフランス機で見かけた、日本人離れした美貌の女・由利と日本で再会した俳優・足立駿の、官能の極致を唆る、華麗な情事小説「美しい獣」のほか、ファッションモデル・百合の強いられた愛の秘密と、死に至る不倫関係を描く「密室の中の百合」など、女の愛と性を甘美な情趣に包んで描きつくした、官能情事小説全5編を収めた傑作集。
  • あの夜の奇妙な情事! 女の隠微な体臭や樹液の味わいまで知りながらも、なぜか営みを果たすことが許されずに終わった、残酷な愛撫……。ただ一度の情事が忘れ難く、女に会おうとしても会えず、その肢体を生々と苛立たしく思い起こしていた男の前に、ついに女が現われた。しかしそれは悪夢のような一幕だった……。第1話「悪夢を秘めた女」から第10話「暁子のついた嘘」まで、現代の「いろ鮮やかな」愛とセックスのかたち、大都会に生きる男女の、欲望にからむ心理のあやを、鮮烈なエロティシズムの中に描き、奔放な愛の世界を大胆に抉った力作。
  • 一夜の真摯で奇妙な愛の営みのあと、黙って遠くに去って行った女。それを知った男の胸には、歯切れよい、爽快な空白感だけが残り、怨みがましさや未練などの感傷はなかった……。やもめ暮らしの中年の画家・俊彦の許に出入りする雑誌記者・由利子は、爽やかで不思議な魅力のある女。ある夜、酒の入った彼女は、妻ある男を愛し、その子を宿していることを告白してから、俊彦に狂おしく愛撫をせがんだ……。そして、由利子が何も知らさずに去ったあと、俊彦はカンバスに神秘的な女の姿を描くのだった。という微妙な女心とある愛のかたちを描く表題作の他に10編収録。
  • 「あんた、わたしが好きなんでしょ、だったら、抱いてもいいわよ」自分のヌード写真に陶酔しながら、亜矢子は気軽にそう言い放った……。写真家・織本信吉がヌードを撮った新進女優・原亜矢子は、美しい肢体の持主だった。少女のあどけなさと年増女の爛熟味を兼ね備えた身体! その妖しい肉に酔い痴れた信吉は、彼女と婚約するが、ヌード写真が評判になり映画の主役に抜擢された亜矢子は、信吉を裏切る。その後、映画に失敗した亜矢子が、失意の彼の前に現われ、信吉は再び欲情の虜となってしまう……。現代の愛と性、女の哀しい虚栄を鮮烈に描いた表題作ふくむ7編を収録。
  • 膃肭獣(オットセイ)を思わせて、ぬめぬめと光り、しなう葉子の肢体。……官能の異常な深さも、これほどとは! 土岐は賛嘆し、溺れる……。だが、次には、あっけにとられた……。銀座でプレイ・ボーイの虚名を頂戴する洋画家・土岐も、足許にも及ばぬ見事な「チョコレート色の獣」葉子。という、甘美な性と陶酔のうしろに、現代の不毛をのぞかせた表題作のほか、独りの愉しみに溺れる若い妻を描く『告白の夜』、地下酒場の鋭い性を秘めた少女を描く『青春の穴倉』、飢えた美しい妻が燃える『背徳の目ざめ』など、現代人の性の生態を余すところなく描いた5編を収録。
  • 33才の美男の、しかも売れっ子のデザイナー・椿安利は、その圧倒的なドン・ファンぶりで、この世界の注目のまととなっている。彼は、数多くの女たちを、独特のドン・ファン哲学の実践により、その豊富な「体験のアルバム」に冷酷にくり込んで来たが、ふとしたことで、著名な画家の娘で、銀行の前途有望な課長・結城章吾の貞淑な妻・千賀子に魅せられて行く……。この現代のドン・ファンの恋愛哲学および実践と、この上なく美しくやさしい人妻・千賀子の恋愛を描いて、真に現代的な意味で、「人生を洒落て生きるコツ」を鮮やかに浮彫りにしている傑作。
  • 「ああ,あなた……」桂木夫人は、恍惚として甘い喘ぎを洩らし、白磁のような光沢を帯びた白い肌をうねらせて、なお、求めつづける……。プレイ・ボーイと自他ともに許す具象画家・九鬼竜彦が、パリから日本にもどって初めて出会った硬質陶器の肌の女、高雅な白肌が醸し出す夢幻の官能味……。九鬼は、ビロードにも似た柔かく熱い感触の中に吸われ、酔い痴れていく……。現代の性と愛を描いては第一人者の著者が放つ、快心の表題作『幻の美女』のほか、妖しくも甘美な同性の愛の世界を描く『レスビアン日誌』,その他『甦った女』など、好短篇全7作を収録!
  • 美しく悪賢い、見事な獣が、狂おしく昂ぶり、あえぐ……。溶ろけるように深く柔らかな肌に、熱く絡み合った男の復讐劇! 12年前、友人に妻を奪われ、心の傷手を負った佐伯信吾は、その友人の女遊びの話を聞いた。冷ややかな好奇心に駆られて、女に会いに行った信吾が見たのは「見事な獣」だった……。繊細でエキゾティックな感じと野性的な妖しさが入り混った不思議な魅力……。友人をとりこにした女・房江は、信吾を一夜の情事に誘い、陰湿で奇妙な復讐を信吾に果たさせるのだった……。愛憎とセックスの世界を鮮烈に描いた表題作のほか10編を収録。
  • 新幹線「ひかり」号で、ふと隣合わせになった、涼子のはかなく冷たい面影は、さすがのプレイボーイの彼の心をとらえて離さなかった。しかし、涼子の前には、黒い雲のように別れた夫が立ちふさがり、最後の別れの晩、涼子は彼の胸の中ではげしく燃えた。そして堪え入った涼子の眼に、紫陽花を濡らす雨のような涙の玉が落ちる――という表題作「紫陽花の女」をはじめ、冷たい横顔の女にふと浮かぶ哀愁の色を繊細な筆で綴る「孤独な嗚咽」「路傍の令嬢」「処女開花」「蜂蜜色の魅惑」「火と氷の女」の6篇をおさめる。傑作短篇集!
  • 小説家・土岐亮は、仕事の疲れをいやすため、不意に思い立って京都を旅した。紅葉した東山の辺りから南禅寺へ向ったある日の午後、山門に佇む哀愁をおびた美貌の人妻・理恵に出会い、その魅力のとりことなった。その象牙色に冴えて冷たい光沢を放つ肌との肉体の会話に、土岐の炎が激しく燃えた。一方、理恵と4つ違いの腹違いの娘・暁子も、若さの魅力を武器に、土岐との情事に身を灼くのだった。熱く燃え沸る官能の炎、激しく求め合う水底の叫び、華麗な情事の構図と愛欲の翳りに、鮮烈な性の深奥をえぐる傑作「黒水仙の夫人」のほかに、「女の恥辱」「もの言わぬ官能」など4編を収録。
  • 5月の暑いローマで、人妻となった耀子と再会した信介の胸にあざやかによみがえったのは、6年前のある夜、東京の青山の深夜スナックで、はじめて顔を合わせ、その後ともに過した夜の苦い思い出だった。日本人離れした妖艶な美貌と、奔放で大胆な姿態は変わることなく、ローマの郊外ティヴォリで、誘われるままに、白昼夢のような甘美な一時を持った。マロニエの街並に消えた日本娘への思慕。若く美しいパリジェンヌとの快美な情事。異国情緒を豊かに散りばめ、海外に材を得て展開する華麗な情事の飛跡……。他に「トレドの遠い夢」など4編を収録。<「パリは今日も雨降る」改題作品>
  • たくましい男の手が、繊細巧緻なテクニックで、私をやさしく愛撫する。とろけるように甘美な快感。私が長い間探し求めていたのは、フランス人の人妻を愛人にしている、この背徳を恐れない男だったのだ……。大学病院の助教授を夫にもつセクシイで背徳的な魔性の人妻・野口麻里子の、あくなき男性遍歴。年下の若くたくましい男、中年の落ち着きを見せるテクニシャンの男、金色のうぶ毛が光るアメリカ人……。さまざまな男性との交遊ぶりを、濃厚なエロティシズムの中に描きながら、現代的な愛と性を鋭く追求した、北原武夫の力作長編。
  • 芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランが、現代っ子看護婦の若さ溢れるお色気を描く大評判「あたし」小説決定版――あたし、ピチピチした19歳の看護婦。自分でいうのも変だけど、グラマーで美人、とっても魅力的な女の子なんです。こんど研修学校に通うことになって寮に入ったのだけれど、そこでひどい目にあった。入寮1日目から、先輩のお姉さまたちに寄ってたかってヘンな身体検査をされたり、刑事に追われて逃げこんできた過激派の学生と反対セクトの女性活動家がフロ場で裸になってセンメツしあったり、もう散ザン。でも、あたし、心の中ではヒソカに楽しんじゃってるんです。<『食べられたいの』続篇作品>

一般館に書籍が 18 件あります。

移動して表示

・キャンペーンの内容や期間は予告なく変更する場合があります。
・コインUP表示がある場合、ご購入時に付与されるキャンペーン分のコインは期間限定コインです。詳しくはこちら
・決済時に商品の合計税抜金額に対して課税するため、作品詳細ページの表示価格と差が生じる場合がございます。

ページ先頭へ

本を予約しました

※予約の確認・解除はこちらから

予約済み書籍

キャンセル及び解除等

発売日前日以降のキャンセル・返品等はできません。
予約の確認・解除、お支払いモード、その他注意事項は予約済み書籍一覧をご確認ください。